
コレは店長がワインを調べる時の資料のひとつ。
写真もなく、どの表紙も中身も変わり映えしないのが何冊もある。
店長は気になるワインがどこに載っていたかを覚えていて、昔のを引っ張りだしてくる。
いつもピアノの上に積み上がっているのがソレです。
今日は朝からコレを眺めながら、ため息をついたり、頷いてみたり、感心してみたり…。
先日入荷して、ワイン会でも飲んだ、シャネル所有のボルドーワインが載っていた。
パーカーポイントは93点。
店長「95点を超えると、味わうのも難しくなるんや…」。93点ぐらいが素直に美味しいと感じるらしい。
2012〜2025年ぐらいが飲み頃とも。
店長「先日のワイン会はいいタイミングで飲んだかもしれない、まだまだ美味しくなるはず…。」
ここまでは、私も「見せて〜」などと言いながら楽しんで聞いてられる。
店長「1986年と似た仕上がりらしい。なるほど…。」
私「・・・?」
店長「そうとしたら…やっぱりな…」
私「???[ほっとこ…]」86年! 30年前と同じと言われても…。
店長はすっかり別世界にいってしまった。
過去に飲んだ86年の他のボルドーと比較してみたり、86年は「◯年と□年と△年に飲んだけど、どないのこないの…」。「僕の記憶にあるローザン・セグラは…」、「10年後は確信をもって旨い、絶対10年後に飲みたい…。」とか。
そう言ってるわりにはいつも全部売ってしまって、手元には残ってないのよね…。
そこまで言うのなら「1本ぐらい残しておいてよ〜」。
店長は、飲んだワインを全部記憶しているらしい。
「簡単やねん」と言う。
記憶していると、各造り手のヴィンテージの個性がわかる、その造り手のワインがどのような熟成の仕方をするかが判る、そうしたら何年ぐらいしたら美味しくなるか予想がつく…。
その記憶の確信を得るために、こうした資料とすり合わせていくのだ。
同じワインの同じヴィンテージでも、飲む時が違えば味も違うので、それも覚えていて、
「アレは輸送に弱い」だの「温度変化に弱い」だの、たまには「あの日は満月だったから…」とまで言う。