気になるワイン

気になるワイン その842020年6月30日(火)

 
Guillard-GC-Aux-Corvees
 
 

 驚愕のジュヴレ・シャンベルタンに出会いました。
 
 

 とりあえず、簡単な説明を。
 

<赤>
 2017 ジュヴレ・シャンベルタンVVオー・コルヴェ(ギィヤール)
 2017 Gevrey Chambertin Vieilles Vignes Aux Corvees domaine Guillard
 生産地:フランス,ブルゴーニュ地方ジュヴレ・シャンベルタンAOC
 生産者:ギィヤール
 品 種:ピノ・ノワール100%
 

 1952年設立。ジュヴレ・シャンベルタン村に5haのみ所有する小規模ドメーヌ。
 平均樹齢65年の畑。栽培においては除草剤は使用しない。生産量はわずか3,600本。
 熟した黒い果実の香り。口当りはやさしく,味わいに深みがあり,ボディも十分。それでいてなめらかなテクスチュアが毛並みの良さを物語っています。
 

 と、まあこんな感じの赤です。
 
 

 ブルゴーニュ地方コート・ドール(黄金の丘)で最も人気のある赤ワイン産地を3つあげるとすれば,…。順に(1)ヴォーヌ・ロマネ,(2)ジュヴレ・シャンベルタン,(3)シャンボール・ミュジニとなるでしょう。世界的な人気を博しているジュヴレ・シャンベルタン村は,30人以上の有力な生産者が切磋琢磨するアペラシオンです。アルマン・ルソー,セラファン,ベルナール・デュガ・ピィ,クロード・デュガ,フーリエ,…! そんなスタープレイヤーぞろいの中で,このギィヤールは少し控えめな立ち位置です。ジュヴレ・シャンベルタン村全アペラシオンの総栽培面積は500haあまりですが,ドメーヌ・ギィヤールはわずか5ha弱ほどしか所有していません。現在日本で購入できるギィヤールのワインは村名格の単一畑3種と1級格の『レ・コルボー』,およびACブルゴーニュの5種類です。今回取り上げるのは村名格の『オー・コルヴェ』です。
 
 

 さっそく抜栓してみましょう。
 色は少し紫がかった濃いルビー。プラム,デーツ(なつめやし),チョコレート,…の複雑な香り。
 一口含むと,若いピノ・ノワールにもかかわらずソフトな口当たりがうれしいです。濃厚な果実味がしっかりとした酸と絶妙のバランスを保ち,肌理の細かいテクスチャーとなって口中に広がります。のどごしはたいへん心地よく,余韻もとても長いです。感動です!
 

 このジュヴレ・シャンベルタンはただものではありません!
 

 この味わいならプルミエ・クリュ(1級畑)と言っても差支えないと思います。それもそのはずで,ラベルにも”Vieilles Vignes”(ヴィエイユ・ヴィーニュ=古木)と表記されているのですが,樹齢はなんと65年! 超古木なんです。そして収量は20~40hl/haと驚異的に少ないのです。
 

 今飲んでも,もちろん美味しいのですが,3年ぐらいの熟成でジュヴレ・シャンベルタンの特長である「堅牢」なニュアンスが現れ,その後10年以上は私たちを楽しませてくれることでしょう。
 

 10数年前に『神の雫』でこれの2001VTが取り上げられているのですね。
 さもありなんです。
 
 

 ところで,最近のブルゴーニュワインの高騰ぶりは阿鼻叫喚(?)状態ですが,この『オー・コルヴェ』であれば,まず12,000円はくだらないクオリティーを感じます。
 

 余談ですが,ここのトップ・キュヴェである1級畑『レ・コルボー』は,かつてワイン評論家のジャッキー・リゴーをして「コート・ドールで最もカリテ・プリな(=コスパの高い)ワイン」といわせしめた1本なのです。

 
 

 合わせる料理としては,これまた王道のコック・オー・ヴァンでいただきたいと思います(本当はウズラのローストが食べたいです)。
 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 さて、気になるお値段は,…。

 
 

 7,300円(税別)です。

 

気になるワイン その832020年6月20日(土)

 
Pape-Clement-2nd
 
 

 堂々としたグラーヴの赤に出会いました。♫
 
 

 とりあえず、簡単な説明を。
 

<赤>
 2015 クレマンタン・ド・パプ・クレマン
 2015 Clementin de Pape Clement
 生産地:フランス,ボルドー,グラーヴ地区ペサック・レオニャンAOC
 所有者:ベルナール・マグレ
 品 種:カベルネ・ソーヴィニョン58%,メルロー42%(栽培面積比率)
 

 シャトー・パプ・クレマンは,グラーヴ地区の優良シャトー。1990年代末より醸造コンサルタントにミシェル・ロランを起用し,劇的に品質が向上しています。これはそのセカンドラベル。
 ボルドーの中でもこの地域のワインはスムーズな飲み口のワインが多いです。このワインはそれだけではなく,木樽由来の風味がとても素晴らしく,しっかりとした果実味と相まって気品のある美味しいワインに仕上がっています。
 

 と、まあこんな感じの赤です。
 
 

 何千というシャトーがひしめくボルドーの中でもグラーヴ地区の赤ワインは,あまり馴染みがない方も多いかもしれません。それもそのはずで,スムーズな飲み口のワインが多いので,同じボルドーのメドックやサンテミリオン&ポムロールと比べてあっさりとした印象でイマイチ人気がありません。そうなると結局レストランのワインリストに載ることも少なくなり,さらに飲む機会が減っていくという悪循環です。
 そんなグラ―ヴでも,実は1級格付けのシャトー・オー・ブリオン(*)を始め,シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン,シャトー・パプ・クレマン,ドメーヌ・ド・シュヴァリエ,シャトー・スミス・オー・ラフィット,…と,なかなか豪華なワインが存在しています。
 

(*)1989年ハリウッド映画『ゴーストバスターズ2』で,主人公のビル・マーレ―とシガニー・ウィーバーがディナーを楽しむシーンに出てましたね。
 

 そのグラーヴのトップクラスのひとつ,シャトー・パプ・クレマンのこれはセカンドラベルです。
 セカンドラベルとは,同一シャトー(ブドウ園)内から収穫されたブドウを使用しファーストラベルの品質には届かないものの十分な品質を持つブドウで造られたワインのことを指します。端的に言ってファーストラベルの弟分のワインです。
 
 

 さっそく抜栓してみましょう。
 色は濃いガーネット。プラム,枯葉,腐葉土,チョコレート,…の美味しそうな香り。
 一口含むと,口当たりはソフト。ミディアムボディの洗練された果実味が口中に広がります。飲み口は例によってスムーズなのですが,決して味わいは薄くはなくオークの風味と合わさって十分な余韻をもたらしてくれます。
 

 一般的に言って,濃厚でインパクトのあるワインはワインジャーナリストの評価点も高くなる傾向があり,それにつられる形で人気も価格も高くなりやすいです。その点でグラーヴ産の赤ワインはテロワール的にはちょっとビミョーですが,このシャトー・パプ・クレマンは,オーナーのベルナール・マグレ氏の号令一下,力強いワインを造り出すべく前世紀より努力しています。この2015ヴィンテージはまさにその姿勢がストレートに反映された素晴らしい1本に仕上がっています。
 
 

 合わせる料理としては,これまた王道のローストビーフでいただきたいと思います。
 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 さて、気になるお値段は,…。
 
 

 6,000円(税別)です。
 

 ではでは。

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気になるワイン その822020年5月28日(木)

 
Principiano-La-Romualda
 
 

 傑出した自然派バルベーラに出会いました。♪
 
 

 とりあえず、簡単な説明を。
 

<赤>
 2013 バルベーラ・ダルバ・ラ・ロムアルダ(プリンチピアーノ)
 2013 Barbera d’Alba La Romualda Azienda Vitivinicola Principiano
 生産地:イタリア,ピエモンテ州バルベーラ・ダルバDOC
 生産者:プリンチピアーノ
 品 種:バルベーラ100%
 

 プリンチピアーノ家は1900年代初頭よりブドウ栽培家でした。
 1993年に現当主になり,2004年より栽培・醸造両面において劇的な改革を行いました。
 すなわち有機栽培を実践し,収量を抑え,醸造時には酸化防止剤を添加せず,野生酵母を使用し,温度管理も行いません。
 樽熟成18ヶ月。単一畑ロムアルダからの1本。
 その味わいは,リッチで気品があり,余韻もすばらしいです。
 まさに最上級のバルベーラです!
 

 と、まあこんな感じの赤です。
 
 

 生産者のプリンチピアーノについて少し詳しく。
 現当主のフェルディナンドは1974年モンフォルテ生まれの46歳。アルバ醸造学校を卒業して,1993年よりワイン造りを開始。近代的なワイン造りが全盛の時代だったので,売れっ子のコンサルタントを仰ぎ,回転式発酵,バリック熟成など近代的スタイルのワイン造りを積極的に行っていました。しかし,2003年頃より自身の体が化学物質を受け付けなくなり,2004年より栽培・醸造ともに劇的な改革を行い,完全に自然派に転換。その転向を彼は「自分の個人的な理由である」として,有機認証も申請せず,今後もしない様子。徹底した有機栽培を実践し,収穫量を抑え,醸造時に酸化防止剤を添加せず,野生酵母を使用し,温度管理も行わないという徹底ぶり。
 そんな彼の造る単一畑のバルベーラです。
 
 

 前フリが長くなりました。さっそく抜栓してみましょう。
 色は黒みがかったルビー。カシスやバラなどのアロマに,樽熟成によるバニラやコーヒーの香りも。そしてうれしいことに自然派(酸化防止剤を添加せずに醸造時)特有のあの困りものの還元香は全く感じません。
 一口含むと,濃厚でかつ瑞々しい果実味が口中に広がります。決して重くはなく,おだやかな酸と相まって上品な味わいを形成しています。余韻もたいへん長く,フィニッシュはあくまでもクリーンです。
 

 数年前に2011VT(ヴィンテージ)を試しましたが,そのときは醸造時に酸化防止剤を添加していたため,いわゆるモダンでフルボディーな万人受けするワインでした。それはそれでVERY GOODなワインでした。けれどこの2013VTの気品は何ものにも代えがたいものがあります。
 
 

 まさに,これは傑出したバルベーラOUTSTANDING BARBERAなのです!
 
 
 合わせる料理としては,甘辛い醤油ダレでいただく焼き鳥の「ねぎま」で決まりです。
 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 さて、気になるお値段は,…。
 
 

 4,500円(税別)です。
 
 

気になるワイン その812020年5月20日(水)

 
Chateau_Chene_Liege
 
 

 超お買得な本物のポムロールに出会いました。♫
 
 

 とりあえず、簡単な説明を。
 

<赤>
 2015 シャトー・シェーヌ・リエージュ
2015 Chateau Chene Liege
 生産地:フランス,ボルドー地方ポムロールAOC
 所有者:ニアルフェックス家
 品 種:メルロー95%,カベルネ・フラン5%
 

 1896年設立の老舗シャトー。40年以上の古木のメルローを使用し,減農薬栽培でていねいに育てられた,小さな畑から年間9000本程度の少量生産。セメントタンクで醗酵。樽熟成24ヶ月。
 ポムロールらしい優美で濃厚なスタイル。
 今飲んでも美味しいですが,10年以上は熟成可能です。
 

 と、まあこんな感じの赤です。

 
 

 ポムロールと聞くと,ボルドーの赤ワインの中でも最も高価なシャトー・ペトリュスを始め,シャトー・ル・パン,ヴュー・シャトー・セルタン,…などなど,とにかくキラ星のごとく輝く名だたるシャトー群がすぐさま思い起こされます。21世紀に入り,これらのシャトーの価格は数万円~数十万円と高騰しています。そんな高級ワイン産地のポムロールで,ポムロールACゾーンの中心地にある,わずか2ヘクタールほどの小さなブドウ園がこのシャトー・シェーヌ・リエージュです。19世紀の終わりに設立された1万本に満たない生産量の家族経営のマイクロ・ワイナリーです。
 
 

 さっそく抜栓してみましょう。
 色は黒みがかったガーネット。プラム,ブラックチェリー,…の黒系果実のアロマ,そしてロースト香の心地よいブーケ。
 一口含むと,口当たりはやさしく,きれいな酸と濃厚な果実味が相まって粘りのあるボディが口中になめらかに広がります。余韻も素晴らしく,オークの風味が長く長く残ります。
 
 

 ところで,ヒュー・ジョンソン,ジャンシス・ロビンソン共著『世界のワイン図鑑』第7版では,メルロー種の説明の中で,「メルローは単一品種としての存在感も持っており,…,ポムロールでその長所を最大限に発揮し,官能的でビロードのようになめらかなエッセンスをもたらす。」と記述されています。
 

 このシェーヌ・リエージュは「官能的でビロードの…」とまではいかないかもしれませんが,そろそろ飲み頃が始まっており,向こう10年はポムロールの快楽を堪能できることでしょう。

 
 

 合わせる料理としては,ここは王道のタンシチューでいただきたいと思います。
 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 さて、気になるお値段は,…。
 
 

 5,400円(税別)です。

 
 

 ではでは。

気になるワイン その802020年5月10日(日)

 
Jadot-Beaune-1er-Cru
 
 

 ブルゴーニュの記念碑的なワインに出会いました。♫
 
 
 

 とりあえず、簡単な説明を。
 

<赤>
 2015 ボーヌ・プルミエ・クリュ・オマージュ・オー・クリマ(ルイ・ジャド)
 2015 Beaune 1er Cru Hommage aux Climats domaine Louis Jadot
 生産地:フランス,ブルゴーニュ地方ボーヌ・プルミエ・クリュAOC
 生産者:ルイ・ジャド社
 品 種:ピノ・ノワール100%
 

 ルイ・ジャド社が生まれ育ったボーヌの畑に敬意を表し,優良年である2015年産のボーヌ1級畑のワイン19種をブレンドし,スペシャル・キュヴェを造りました。
 それぞれの畑の個性が見事に調和した,奥深い味わいの1本です。
 

 と、まあこんな感じの赤です。
 
 

 言わずもがなのルイ・ジャド社ですが,復習の意味で今一度このブルゴーニュ屈指の生産者の歴史を振り返ってみましょう。
 1859年にルイ・アンリ・ドゥニ・ジャドによりメゾン設立。ジャド家はそれ以前より由緒あるブドウ栽培家としてすでに有名でした。以降ブルゴーニュの大手ネゴシアンとして,様々なアペラシオンのブドウを買付け醸造・販売してきました。それと同時にブドウ畑も次々に購入し,自社畑のワイン(=ドメーヌ)も造り続けてきました。現在はブルゴーニュに240ha(東京ドーム50個分以上の広さ)もの自社畑を有する一大ドメーヌとなっています。
 また,ルイ・ジャド社はただ単に売れるブルゴーニュワインを造っているのではなく,2011年からは自社畑において環境にやさしい栽培技法を積極的に採り入れ,2019年3月にはHVEのLEVEL3(*)の認定をフランス農業省の認定機関より受けました。真にブルゴーニュのテロワールを大切にした栽培と醸造を心掛けている生産者なのです。
 

*)HVE認証(Haute Valeur Environnementale「高い環境価値」の意)とは,ブドウの栽培から瓶詰めまで適切なアプローチを採用することを選択した農業従事者/ブドウ栽培者に与えられます。この認証は,3つのレベルで優れた環境にやさしい実践を推奨します。LEVEL3は,その最上位のもので,生物多様性の尊重,害虫対策,肥料および灌漑の騒音管理といった指標を基準に認定されます。
 
 

 前フリが長くなりました。さっそく抜栓してみましょう。
 色はルビーそのもの。チェリー,カシス,ストロベリー,シナモン,トリュフ,…などの複雑なアロマ。
 一口含むと,口当たりはやさしく,果実味がほど良いコクとなって口中に広がります。余韻もまずまずです。ですが,現時点では少し酸が高く,ボリューム感の点で物足りなさを感じます。ワインが開いておらず,当たり年の偉大さがまだ隠れているようです。
 まだ若いのですね。本当の飲み頃は2025年ぐらいからでしょうか。今飲むなら,しっかりとデキャンタージュして空気とよくなじませてから楽しんでみたい。
 
 

 合わせる料理としては,鴨のテリーヌがベストかもしれませんが,関西人の私としてはここは「ねぎ焼き」をポン酢醤油でいただきたいと思います。
 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 さて、気になるお値段は,…。
 
 

 8,000円(税別)です。
 

 ではでは。

気になるワイン その792020年4月15日(水)

 
tetta-MBA-Barrique
 
 

 感動のマスカット・ベイリーAに出会いました。♫
 
 
 

 とりあえず、簡単な説明を。
 

<赤>
 2018 マスカット・ベイリーA樽熟成(ドメーヌ・テッタ)
 2018 Muscat Baily A Barrique domaine tetta
 生産地:日本,岡山県新見市哲多町
 生産者:ドメーヌ・テッタ
 品 種:マスカット・ベイリーA100%
 

 2016年設立の新進気鋭の生産者。
 元々は耕作放棄地だった広大なブドウ畑で2009年よりワイン造り
に挑戦。ブドウ栽培から醸造,熟成,瓶詰めまで全てを行っています。
 樽熟成12ヶ月のマスカット・ベイリーA。
 濃厚な果実味に木樽の風味がとけこんで美味しい赤ワインに。
 今後が楽しみな志の高いワイナリーの情熱溢れる1本。
 

 と、まあこんな感じの赤です。
 
 

 広島の県境に近い岡山県新見市哲多町にある「ドメーヌ・テッタ」は,西日本のワイナリーの中で私が特に評価しているところです。
 何が素晴らしいかといえば,まず土壌が良いのです。フランスの銘醸地に似た石灰岩土壌で水はけ良好。標高(約400m)も高く,1日の気温の寒暖差もあり,ブドウ栽培にピッタリなんです。そんな栽培好適地で可能なかぎり農薬を使用せず,ブドウ樹を大切に育てているのです。
 さらに素晴らしいことに,醸造時には野生酵母で醗酵を行ない,補糖も補酸もしないのです。これは決定的に重要なことです。なぜなら,ファインワインを造る上でテロワールの個性を表現するためには,その畑に棲みついてブドウの果皮に付着している野生の酵母で醗酵させなければ意味がないからです。また補糖と補酸はワインの味を人為的に調整することを意味します。それをしないということで,より収穫された果実本来の姿を表現できるのです。
 このように「ドメーヌ・テッタ」は,真に志を高く持った自然派の生産者なのです!
 

 また,ご存知の方も多いと思いますが,コンクリート打ちっ放しのワイナリーにはカフェが併設されており,美味しいランチとケーキ(もちろんワインも!)が食べられるのです。蛇足ですが,ここのお手洗いがまた素敵なんですね。本当に美しいワイナリーなのです。
 
 

 前フリが長くなりました。さっそく抜栓してみましょう。
 色は濃いガーネット。マスカット・ベイリーAに特有のストロベリーキャンディのアロマを感じ,ほんのり木樽のニュアンスも。
 一口含むと,口当たりはやさしく,濃厚な果実味が圧倒的なボリューム感とともに口中に広がります。素直に美味しいと思えるワインです。余韻はさほど長くはありませんが,これはマスカット・ベイリーAというブドウ品種の限界かもしれません。

 樽熟成のマスカット・ベイリーAはかつてダイヤモンド醸造のものを好んで飲んでいましたが,これはそれに匹敵するかそれ以上の素晴らしい出来栄えです。
 

 ただしサービス温度は少し低めの10~12℃がベスト。温度が上がるとどうしてもマスカット・ベイリーA特有の甘さが目立ってきます。
 合わせる料理としては,醤油ダレの焼鳥が定番ですが,関西人の私としてはここは「お好み焼き」でいきたいと思います。

 
 

 みなさまも、ぜひ。

 
 

 さて、気になるお値段は,…。
 
 

 3,200円(税別)です。
 
 

 ではでは。

気になるワイン その772020年3月8日(日)

 
Fleurie
 
 

 感動的なボージョレに出会いました。♫

 
 

 かの大御所ヒュー・ジョンソン師も「最上のボージョレのクリュ。いちごの香りと,絹のようにやわらかな肌理(きめ)が,快楽中枢をワクワクさせる。」おっしゃっておられます。

 
 

 とりあえず,簡単な説明を。
 

<赤>
 2015 フルーリー(ジャド)
 2015 Fleurie “Chateau des Jacques” Louis Jadot
 生産地:フランス,ブルゴーニュ地方ボージョレ地区フルーリーAOC
 生産者:ルイ・ジャド社(シャトー・デ・ジャック)
 品 種:ガメイ100%
 

 1996年ボージョレ地区の高名な生産者シャトー・デ・ジャックはジャド社の所有となりました。
 フルーリーはその名のごとく咲き誇る花のようなかぐわしいワインです。
 美しいアロマと豊かな果実味が素敵な1本です。
 

 と,まあこんな感じの赤です。
 
 

 ところで,フルーリーには私は少し思い出があります。
 私が駆け出しの頃,今から30年以上前の話です。その当時,赤ワインと言えばフランスのボルドーのことでした。試飲会などでボルドーを飲むと,とにかく渋くて苦くて何が美味しいのかさっぱりわかりませんでした。実はワインの勉強を始めて最初の2年間は赤ワインが飲めなかったのです。では何がきっかけで赤ワインが飲めるようになったのでしょうか? ピンッときた方も多いと思います。そうなんですね。ある試飲会でフルーリー(シャトー・デ・ジャックではありません)を飲んだのです。生まれて初めて赤ワインを美味しいと思いました。それ以来,不思議なことにどんなに渋い赤ワインでも美味しく飲めるようになりました。

 
 

 前フリが長くなりました。
 

 さっそく抜栓してみましょう。
 色は濃い赤紫。
 スミレ,カシスやストロベリージャムなどのかぐわしいアロマ。たまり醤油などの醗酵系の香りも。マイルドな口当たり,濃厚な果実味ときれいな酸とのバランスが抜群で,やさしい味わいにもかかわらずある種のインパクトを感じます。もちろん余韻も長いです。フルーリーの真髄を堪能できる1本です。
 
 

 最初にボージョレと聞いて,例の超大量生産のボージョレ・ヌーヴォーの印象を思い浮かべて,いやな予感をお持ちになった方も多いと思いますが,本当のボージョレは全く違います。このフルーリーのような上級ボージョレは,コート・ドールの村名ワインをも凌ぐものがまま存在することを実感していただけるのではないでしょうか。
 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 さて、気になるお値段は,…。
 
 

 3,700円(税別)です。
 
 

 ではでは。
 

気になるワイン その762019年10月10日(木)

 
Kelley-Fox-Ahurani

 
 
久々にしっとりと落ち着いたオレゴンのピノ・ノワールに出会いました。♫
 

 
 

 とりあえず,簡単な説明を。
 

<赤>
 2017 アフラニ・ピノ・ノワール(ケリー・フォックス)
2017 Ahurani Pinot Noir Kelley Fox Wines
 生産地:アメリカ,オレゴン州マクミンヴィルAVA(ウィラメット・ヴァレーAVA内)
 生産者:ケリー・フォックス・ワインズ
 品 種:ピノ・ノワール100%
 

 オレゴンの名門ワイナリーで研修後,2007年に設立。
 ビオディナミの畑から素晴らしいピノ・ノワールを造っています。
 樹齢約20年の区画『アフラニ』より。
 もちろん野生酵母で醸造。フレンチオークで9ヶ月熟成。
 味わいは濃厚でありながら繊細。ブルゴーニュでたとえるなら,コート・ド・ボーヌというよりコート・ド・ニュイか。
 傑出したピノ・ノワールです。

 

 と,まあこんな感じの赤です。
 
 

 当主のケリー・フォックス女史は,大学で生物学と生化学を学び,博士課題を修了する前に彼女はワイン造りの道を選ぶことを決意。ワイン造りについては,オレゴンの熟練生産者たちの元で修行し,オレゴンの伝説的な生産者ジ・アイリー・ヴァインヤードの故デイヴィッド・レット氏から決定的な影響を受けたそうです。様々なワイナリーでの経験後,2016ヴィンテージからやっと自身のワイナリーに専念することがかない,今日に至っています
 
 

 それでは抜栓してみましょう。
 色は濃いルビー。
 クランベリーやカシス,そしてほんの少しリコリスの感じも。口当たりはソフトで,凝縮感のある果実味とともにのびやかな酸を実感できます。それでいて味わいはマイルドでしっとりとした落ち着きを感じます。そして余韻もそこそこ長いです。ニューワールドのピノ・ノワールにありがちな酸の弱さや過剰な濃厚さは微塵も感じられません。
 まさにブルゴーニュ・スタイルな1本です。
 

 さすが,オレゴン産ピノ・ノワールの父と呼ばれる伝説の生産者デイヴィッド・レット氏から薫陶を受けた人です。
 その完成度の高さに惚れ惚れとしてしまいます。
 
 

 ここ数年のブルゴーニュの高騰ぶりには辟易とするものがありますが,しばらくはこの古代ペルシャの「幸福の女神」の名に由来する『アフラニ』でブルゴーニュのピノ・ノワールを疑似体験したいものです。

 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 さて、気になるお値段は,…。
 
 

 4,700円(税別)です。

 
 

 ではでは。

気になるワイン その752019年6月16日(日)

 
Envinate-Albahra
 
 

 すみません。またまた更新遅くなりました。
 
 

 シャトーヌフ・デュ・パプと見まがうスペイン産赤ワインに出会いました。♫

 
 

 とりあえず,簡単な説明を。
 

<赤>
 2017 アルバーラ(エンビナーテ)
2017 Albahra ENVINATE
 生産地:スペイン,アルマンサ地方VdE
 生産者:エンビナーテ
 品 種:ガルナッチャ・ティントレラ(=アリカンテ・ブーシェ)主体
 

 エンビナーテ(「ワイン,あなた自身」という意味)は2008年
に設立された新進気鋭の生産者。
 スペインの東側バレンシアの近くの地域。
 醸造時には酸化防止剤を使用せず,野生酵母で醗酵させています。
 バラやカシスのアロマ。味わいはフレッシュでエレガント。
 「きれいなシャトーヌフ・デュ・パプ」といったおもむきの1本。
&nbs@p;

 と,まあこんな感じの赤です。
 
 

 エンビナーテは,スペイン南東部バレンシア州アリカンテにあるミゲル・エルナンデス大学で醸造学を学んでいた学生4人組が2008年に創業した気鋭のワイン生産者です。原料ブドウは,可能な限り自然な栽培を心掛け,樹齢の高い土着品種(できれば自根)の畑のものを使用しています。もちろん醸造時には酸化防止剤を添加せず(瓶詰時には少量添加),野生酵母のみで醗酵をしています。
 

 前フリが長くなりすぎました。それでは抜栓してみましょう。
 色は明るいガーネット。
 ローズやカシスのアロマが美しく咲き誇っています。口当たりはソフトで,濃厚な果実味の中にプラム,カシス,ローズヒップなどの風味が素晴らしく,濃厚でありながら軽やかな飲み心地が毛並みの良さを感じさせます。
 

 本来,ガルナッチャ・ティントレラ(古代ローマ人が植えたのでしょうか?)というブドウ品種は200hl/haの多収量タイプなのですが,恐らくこのワインは収量を極限(30hl/ha程度)まで抑制しているのでしょう。スペインの地酒の域をはるかに超越し,世界標準までその品質を高めています。
 まさにアルマンサのヴァン・ド・テロワール(テロワールすなわちブドウ畑の個性を表現したワインのこと)の誕生です。
 
 

 感動です!
 
 

 合わせる料理は,…。意外に焼き鳥などのお伴には絶好のワインです。
 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 さて、気になるお値段は,…。

 
 

 2,300円(税別)です。 ←安すぎます!
 
 

 ではでは。

気になるワイン その732019年1月12日(土)

 
Naoussa-Xinomavro
 
 

 ちょっと遅くなりました。
 明けましておめでとうございます。
 今年こそ,まめに(=毎月)更新したいです。(笑)
 
 

 傑出したギリシャの自然派赤ワインに出会いました。♫
 
 

 とりあえず,簡単な説明を。
 

<赤>
 2016 ナウサ・ジューヌ・ヴィーニュ・ド・クシノマヴロ(ティミオプロス)
 2016 Naoussa Jeunes Vignes de Xinomavro domaine Thymiopoulos
 生産地:ギリシャ,ギリシャ北部マケドニア地方ナウサAOP
 生産者:ドメーヌ・ティミオプロス
 品 種:クシノマヴロ100%
 

 ナウサはバルカン半島マケドニア地方の優良生産地。
 品種名のクシノマヴロとは「酸っぱい黒」という意味で,北部の涼しい気候に適しており,最上級のものは数十年の熟成に耐えうる。いわばギリシャのネッビオーロか?
 プラムやイチジクの上品なアロマ,適度なタンニン,絹のようなテクスチャー。ギリシャの心地よい赤です。
 

 と,まあこんな感じの赤です。
 
 

 「クシノマヴロ」というギリシャの土着品種の名称は,根っからの関西人の私にはどうしても「マグロの串刺し」に聞こえてしまいます。(笑)
 

 それはさておき,抜栓してみましょう。少し枯れた感じのあずき色。ドライフィグ(干したイチジク)や完熟したプラムのような大人しい香り。一口含むと,派手さはありませんが,しっとりと落ち着いて優しい印象です。ついつい杯を重ねてしまう飲み飽きしない赤です。
 

 このギリシャの印象的なエチケットの赤ワインはバリバリの自然派です。酸化防止剤を使用せず醗酵を行っています(瓶詰め時には少量添加します)。一般的に酸化防止剤不使用で醸造した場合は,特有の青草のような風味が感じられるものです。そしてこの独特の風味を私はあまり好みません。しかし,このワインにはそれが微塵も感じられないのです。なんて素晴らしいワインなのでしょう!
 

 私見ですが,酸化防止剤不使用で醸造したワインがこの青草の風味を出さないのは,厳しく収量制限されたブドウ果実から造られた場合にのみそうなるような気がしています。
 
 

 一般的に言って,コストパフォーマンスの高いワインの多いギリシャですが,その中でも出色の出来です。
 
 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 さて、気になるお値段は,…。
 
 

 驚異の2,300円(税別)です。
 
 

 ご注文は「こちら」から。

 
 

 ではでは。