第28回は北イタリア・フリウーリ=ヴェネツィア・ジューリア州産の白です。
前回にひきつづき北イタリアの素晴らしい個性を持った1本です。
フリウラーノというブドウ品種は,イタリアの最北東にあるフリウーリ=ヴェネツィア・ジューリア州を中心に北部で栽培されている独自品種です。またリボッラ・ジャッラ種にいたってはフリウーリ=ヴェネツィア・ジューリア州の一部でしか栽培されいません。
さて,今回取り上げるフリウーリ=ヴェネツィア・ジューリアの白は,これら聞きなれない独自品種2種のブレンドのワインです。
2015 フリウーリ・コッリ・オリエンターリ・サクリサッシ・ビアンコ(レ・ドゥエ・テッレ)
2015 Friuli Colli Orientali “Sacrisassi” Bianco Azienda Agricola Le Due Terre
生産地:イタリア,フリウーリ=ヴェネツィア・ジューリア州フリウーリ・コッリ・オリエンターリDOC
生産者:レ・ドゥエ・テッレ
品 種:フリウラーノ70%,リボッラ・ジャッラ30%
醸 造:醗酵後,フレンチオークで20ヶ月の樽熟成
どんな個性が現れるのでしょうか。抜栓してみましょう。グラスに注がれた液体は,ほんのり赤みさす麦わら色。香りは,アーモンド,梅の花,梅干し,ハチミツ,…。一口含むと,口当たりはソフトで,伸びやかな酸に濃厚な果実味が調和しています。豊かなアーモンドのなかに少し梅干しの風味も。ほんのりスパイシーなニュアンスも感じます。余韻はとても長いです。
なお,サクリサッシSacrisassiとはイタリア語で「聖なる石」の意味。その由来はワイナリーの場所にかつて古い教会があったことにちなんでいるらしいです。
この色調と味わいから,明らかに酸化防止剤不使用で醸造した,バリバリの自然派ワインということがわかります。
余談ですが,私がこのワインを初めて試したのは(私の記憶が正しければ)2003年でヴィンテージは2000年だったように思います。当時のサクリサッシは,セパージュ(原料ブドウのブレンド割合)にソーヴィニョン・ブランが含まれており,かつ醸造時に酸化防止剤を使用していたためか,2015VTよりも,色は少し緑がかった麦わら色で,味わいもよりスパイシーさが目立っていたように記憶しています。すなわち現在より明快なスタイルであったように思います。
技術的な違いはともかく,サクリサッシは類いまれな個性を持つ白ワインであることは間違いないのです。
さて,このサクリサッシにどんなチーズを合わせましょうか。
ブリーなどの白カビ全般と相性は良さそうですが,ここは少しひねってフランス・スペイン国境のピレネー山岳地帯のハードタイプの名品オッソー=イラティーなどはいかがでしょうか。羊乳特有の旨みがフリウラーノ種の果実味とピッタリとマッチし「しあわせ」を感じます。
お料理なら,粗塩をひとふりした地鶏のグリルにガッツリと合わせてみたいです。
参考価格:5,700円(税別)