第26回はドイツ産スパークリングワインのゼクトです。
まずはゼクトについておさらいを。
最もお手頃なシャウムヴァインに始まり,ゼクト,ドイチャー・ゼクト,ドイチャー・ゼクトb.A.の4段階の等級に分かれています。
さて、今回取り上げるゼクトは,
2011 ゼクト1900・ブリュット・リースリング(ファン・フォルクセン)
2011 Sekt 1900 Brut Riesling Q.b.A. weingut Van Volxem
生産者:ファン・フォルクセン
品 種:リースリング100%
醸 造:一次発酵は,野生酵母による木樽醗酵。瓶内二次醗酵後,澱とともに5年間セラーにて保管。
このゼクトは文句なしのトップランクの「ドイチャー・ゼクトb.A.」です。その中でも特別なヴィンツァー・ゼクトWinzersekt(醸造所のゼクト)※です。
※)個々の醸造所や協同組合が生産したぶどうから造られたベースワインのみを使用し,伝統製法によって造られるゼクト。ゼクトb.A.の条件を満たしており,デゴルジュマンまで最低9ヶ月間酵母の澱と一緒に熟成させる。より高品質のゼクトを生産するため,デゴルジュマンまで数年にわたって熟成させる生産者も。エチケットには醸造所,品種,ヴィンテージの表記が義務付けられている。
ファン・フォルクセンといえば,19世紀末から20世紀初頭にかけてのモーゼルワイン全盛期(当時のリースリングは辛口!)のワインを21世紀の現代に復活させるべく邁進している傑出した生産者です。優良なリースリングのクローンを使用して収量を抑制し,野生酵母で醗酵させるという,まさにモーゼルのファインワインを造り続けています。今では,同産地の伝説的な生産者であるエゴン・ミュラー家と比肩しうる存在になりつつあります。
ところで,一般的なゼクトといえば,心地よい酸味を持つすっきりとした,食前酒にピッタリな辛口のスパークリングといった感じでしょう。
さて,このゼクトはどうなのでしょうか。
早速、抜栓してみましょう。
色はゴールドそのもの。繊細な泡にマンゴー,枇杷(びわ),ピーチなどの美しいアロマ。一口含むと,口当たりはやさしく,しっかりとしたボディを持ち,濃厚なフルーツの味わいが辛口でありながらほとんど辛さを感じさせません。アフターにはマンゴーのフレーバーが長く長く続きます。
驚愕のゼクトです!
こんなにすごいゼクトは,いまだかつて経験したことがありません。シャンパーニュでさえもこれほど伝統的な味わいを持つものは,クリュッグやボランジェなどほんの一握りしか存在しないのではないでしょうか。
なお,ラベルに書かれている「1900」とは,1900年頃(100年以上前!)に植樹されたリースリングが一部使用されているからだそうです。
本当にすごいですね!
参考価格:5,500円(税別)