第14回は、ひさしぶりにロワールの白です。第10回ではミュスカデを取り上げましたが、今回はアンジュー地区のシュナン・ブランです。
シュナン・ブランという白ブドウ品種は、世界中で栽培されています。特に南アフリカではフランスの3倍以上の作付け面積を持ち、お手頃なやや辛口のテーブルワインとして大人気となっています。本家のロワールでは、辛口のスパークリングから極甘口のデザートワインまで多様なワインが造られています。
2013年 VdF ラ・リュンヌ アンフォール
生産地:フランス,ロワール川流域アンジュー地区ヴァン・ド・フランス
生産者:ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール(マルク・アンジェリ)
品 種:シュナン・ブラン100%
当主のマルク・アンジェリは、ロワール自然派のリーダー的存在です。
1990年ファースト・ヴィンテージ。ブドウ畑はもちろんビオディナミで栽培し、醸造時には二酸化硫
黄をできうる限り使用せず、天然酵母で醗酵させ、もちろん補糖もしません。できるワインは、やや辛口(やや甘口?)で濃厚な果実味の中にの透明感を感じる秀逸なシュナン・ブランです。
実はこのワインの名前の最後にある「アンフォール」とは、古代ローマ時代の醗酵および貯蔵タンクである「アンフォラ(甕:かめ)」を使用して造られたワインということを示しています。マルク・アンジェリは、従来の樽熟成のワインにあきたらず、わざわざ甕造りの本場ジョージア(数千年の甕造りの歴史を持つ世界最古のワイン産地)より300リットルの素焼きの甕(=アンフォール)を取り寄せ、実験的に醸造したものが、このワインなのです。
抜栓してみると、キーウィやメロン、青りんご、つづいてオレンジ、はちみつ、梅などの濃いめの酸味と甘味を持ったフルーツのアロマを感じます。一口含むと、マンゴーや洋ナシの風味を感じます。落ち着いた優しい味わいです。いつものボリューム感はあまりなく、濃厚でありながらもさっぱりとした美味しさです。
このアンフォール製のワインは、今までのようにボリューム感があって残糖分を感じるスタイルではなさそうです。
聞くところによると、2015ヴィンテージからは、従来の樽熟成のものと並行して、ドイツ製の1000リットルの甕を使用して醸造も行うようです。
正直言って、サンソニエールのシュナン・ブランには少し「飽き」を感じていたので、この変貌ぶりには驚かずにはおれません。マルク・アンジェリの進化にはただただ敬服するのみです。
申し訳ございませんが、このワインは完売しております。
ご興味のおありの方は、2015年がリリース(2016年秋以降)されるまで今しばらくご辛抱ください。
参考価格:5,800円(税別)