美酒礼賛 第18回2017年9月17日(日)

 
Melting-Potes
 
 

 第18回はちょっと不思議なフランス産ヴァン・ド・ターブル(=テーブルワイン)です。
 ですが、ただのお手軽ヴァン・ド・ターブルではありません!
 
 

  2016 メルティング・ポーツ(ル・ヴァンダンジュール・マスケ)
 生産地:フランス,ヴァン・ド・フランス
 生産者:ル・ヴァンダンジュール・マスケ(アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール)
 品 種:ヴィオニエ48%,クレレット28%,グルナッシュ・ブラン24%
 
 

 まずは、生産者のル・ヴァンダンジュール・マスケの説明から。
 ル・ヴァンダンジュール・マスケとは、シャブリの自然派ドメーヌ、アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールのネゴシアン(ブドウを外部から購入してワインを生産)の名称です。
 実は2016年は霜と雹に襲われ、ムール夫妻はたったの500リットルしか収穫できず、わずか600本分のみの生産量だったのです。これでは経営が立ち行きません! そのため、長年の友人たちから異なる品種のブドウを譲り受け、このワインを醸造したのです。それでも生産量はわずか7,500本。希少な白です。

 
 

 では、早速抜栓してみましょう。
 マンゴーやピーチそしてヴィオニエ種の特長であるアプリコットの上品なアロマ。一口含むと、ソフトな口当り、分厚い果実の旨味を感じ、きっちりと筋の通った酸が永井余韻を約束してくれます。
 ムール夫妻の造る定番のシャブリとはまた違った、ローヌ系品種を使用したおおらかで美味しい白ワインです。
 

 ところで、このワインのみょうちきりんな名前の由来ですが、”melting pot” 英語で「人種のるつぼ」、つまり出生地の異なる多様な人々が同じ場所に混ぜこぜにあることを意味しています。これは異なる場所の畑から、それぞれ異なるブドウ品種をもって、同じ場所(ムール夫妻のセラー)で醸造していることと対応しています。また、melting potをフランス語的に文字遊びすると、pot≒potesはフランス語で友人たち(複数形)を意味するので、友人たちの混ぜ合わせというような意味合いも含んでいるのです。
 
 

 参考価格:3,300円(税別)