第10回はフランスお手頃白ワインの定番、ミュスカデです。
ミュスカデは、ロワール河口の街ナント周辺で造られるサッパリとした辛口の白ワインです。日本国内でもスーパーマーケットなどで大量に販売されています。フランスワインにしてはめずらしく、ブドウ品種の名前がワインの名前(AOC)になっています(通常は産地の名称がワインの名称になる)。
今回ご紹介させていただくミュスカデは、それらとは一線を画す傑出したものです。
2011年ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・エクスプレッシオン・ド・ナイス(レキュ)
生産地:フランス,ロワール川流域ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌAOC
生産者:ドメーヌ・ド・レキュ(=ギー・ボサール)
品 種:ミュスカデ100%
生産者のギー・ボサールは、ナント近郊で祖父の代から有機農業を実践していました。1997年にビオディナミに転換し,この地方の象徴的存在になりました。現在はビオディナミの指導者的役割を担っています。
ところで、ミュスカデというブドウ品種は別名をムロン・ド・ブルゴーニュMelon de Bourgogne(ブルゴーニュのメロンの意味)といい、元をただせばブルゴーニュ地方原産。あの高貴品種シャルドネとは遺伝的に兄弟の関係ということらしいのですが、ちょっと驚きです!
抜栓してみると、ミュスカデ種特有のメロンやグレープフルーツといったアロマの中から力強いヨードの味わいが現れる骨太な1本です。余韻もたいへん長く、のどごしの心地よさは他のミュスカデの追随を許しません。
また「エクスプレッシオン・ド・ナイス(直訳:片麻岩の表現)」とは片麻岩土壌におけるテロワールTerroirの特徴がよく表れたワインを意味しています。
真夏の定番BBQ。
キリッと冷やしたこのミュスカデと魚介類はもとよりチキンのグリルにも合わせたいすぐれものの白です。