
愉快なドイツ産ソーヴィニョン・ブランに出会いました。♪
ソーヴィニョン・ブランといえば,まずロワール地方のサンセール,次にボルドー地方のグラーヴ,そしてニュージーランドのマールボロ,…といったところが,高名な産地と言えるのではないでしょうか。グラーヴは第11回でシャトー・ミルボー・ブランを取り上げました。
さて、今回取り上げるワインは,
2018 ソーヴィニョン・ブランⅡ(フォン・ウィニング)
2018 Sauvignon Blanc II Trocken Q.b.A. Von Winning Weingut GmbH
生産地:ドイツ,ファルツ地方QbA
生産者:フォン・ウィニング醸造所
品 種:ソーヴィニョン・ブラン100%(ステンレスタンク熟成8ヶ月)
フォン・ウィニング醸造所について少し説明を。
19世紀初頭ドイツ南部のファルツ地方で名声を誇った『ジョルダン・エステイト』の後継者レオポルト・フォン・ウィニングが1907年にフォン・ウィニング醸造所を設立しました。彼はワイン造りに高い志を持ち,優良ドイツワイン生産者協会V.D.P.(*)設立の功労者の一人でもありました。その後,第1次および第2次世界大戦におけるドイツの敗戦の影響から抜け出せず,長らく低迷していました。2007年(100周年!)ついに起業家のアヒム・ニーダーベルガーによって再興されました。
現在ワイナリーでは「畑の可能性を引き出し,最高品質のワインを造る」ことをモットーに,テロワールを重視した環境にやさしいブドウ栽培と人的介入を可能な限り行わないワイン造りを目指しています。
まさに”FINE WINE”を産み出しているのですね。
*)優良ドイツワイン生産者協会V.D.P.(Verband Deutscher Prädikats und Qualitätsweingüter)とは,ドイツにおける上級ワイン造りにおいて主導的役割を果たしている。1910年3月19日設立。2010年5月現在,会員数は196醸造所。総栽培面積は約4900ha,ドイツ全体では約10万haなので約5%。
では抜栓してみましょう。
色は,淡いイエロー。香りは,パッションフルーツ,熟したオレンジなどの南洋系フルーツ!
一口含むと,凝縮感のある果実味と丸みのある酸とのバランスが良く,やさしい味わいを生み出しています。そしてフィニッシュにはレモングラスのような風味を感じ,ワイン全体を引き締めています。
ソーヴィニョン・ブランといえば,淡いグリーンイエローを呈した青草のアロマが定番ですが,これは淡いイエローとパッションフルーツ! こんな色と香りを持つソーヴィニョン・ブランは,かつてカリフォルニア産で経験したことはありますが,ヨーロッパ産では初めてかもしれません。飲んでいて楽しくなる1本です。ここのブドウ畑のテロワールはよっぽど変わっているのでしょうか!? 飲み手をこんなにハッピーな気分にしてくれるソーヴィニョン・ブランもめずらしいです。
本当に愉快なファルツのソーヴィニョン・ブランです。
合わせる料理は,パルミジャーノをたっぷりかけたシンプルなリゾットで決まりです。
価格もお手頃。かなりうれしい初夏にピッタリな1本です。
参考価格:2,500円(税別)