
第22回はスペインの独自品種ゴデージョです。
大西洋に面したスペインの北西端にある白の銘醸地ガリシアからの1本です。
2015 オ・ルアール・ド・シル ソブレ・リアス(パゴ・デ・ロス・カペジャーネス)
生産地:スペイン,ガリシア州DOヴァルデオラス
生産者:パゴ・デ・ロス・カペジャーネス
品 種:ゴデージョ100%
まずは、生産者のパゴ・デ・ロス・カペジャーネスの説明から。
1996年にスペインの銘醸地リベラ・デル・ドゥエロの中心地で創業。パゴ・デ・ロス・カペジャーネスとは「司祭の畑」という意味です。中世の時代この地では、司祭たちがブドウの栽培とワインの醸造を行っていました。当主フランシスコ・ロデロは由緒あるこの地に100haもの土地を所有し、スペイン最良のワインを造るべく邁進しています。すでにテンプラニージョを使用した赤ワインでは世界的名声を勝ち得ています。
そんなカペジャーネスですが、白ワインの生産にはたいへん慎重でした。2014年本拠地のリベラ・デル・ドゥエロから北西へ300kmも離れたガリシア州ヴァルデオラスに醸造所を新設し、ゴデージョの栽培と醸造を始めました。その最初の成果がこの「オ・ルアール・ド・シル」なのです。
早速、抜栓してみましょう。グラスに注がれた液体は透明感のある淡いゴールドを呈し、スィーティーやグレープフルーツなどの柑橘系の香りを放ち、つづいて梅やりんごのジャム、そしてローズマリーやエストラゴンなどのハーブ系の香りも。一口含むと、ピリッとした酸味を感じ、次にボリューム感のある果実味、そしてフィニッシュには心地よい苦みがほんのり残ります。
この白ワインは木樽熟成はなく、そのかわりタンク内で6か月間シュール・リー状態におかれます。今まで個人的にはゴデージョのワインでピンとくるものがなかったのですが、この「オ・ルアール・ド・シル」は違います。ブルゴーニュやロワールの白にはないキラキラ光る個性を持っているのです。
なお「オ・ルアール・ド・シル」とは「シル川に反射する月の光」という意味だそうですが、その詩的な表現が完璧に的を得た傑出した1本となっています。
ただ残念なことに、このワインは輸入元の判断で終売となりました。しばらく日本には入ってきそうにありません。当店のセラーにもあと数本のみ。(泣)
参考価格:5,300円(税別)