2017年11月の記事一覧

美酒礼賛 第20回2017年11月25日(土)

 
KOBE-Benediction-Blanc
 
 

第20回は日本ワインの白です。第3回では城戸ワイナリーを、第9回ではボーペイサージュを取り上げました。今回は神戸ワイナリーです。
 
 

 ここで神戸ワイナリーの歴史をおさらいしておきましょう。1979年に「一般財団法人神戸みのりの公社」として設立され、ファーストヴィンテージは1983年。以来30年以上にわたって営々とワインを造り続けている、老舗の国産ワイナリーです。ただその道のりは決して平坦なものではありませんでした。2008年には300万本もの不良在庫を抱え、製造元の「神戸みのりの公社」に対し、スポンサーの神戸市がXX億円の追加出資を行って救済したこともありました。また阪神間のワインファンからは「コープ(生協)さんで大量に売っているあのイマイチなワインね」とあまり評判は良くありません。
 
 

 ところが、神戸ワインは変わりつつあるのです!
 
 

 その代表選手が今回取り上げる「ベネディクシオン・ブラン」なのです。
 

 2016 ベネディクシオン・ブラン(神戸ワイナリー)
 生産地:日本,兵庫県神戸市
 生産者:神戸ワイナリー
 品 種:シャルドネ100%
 
 

 このベネディクシオンのシリーズは、現在北海道函館市の「農楽蔵(のらくら)ワイナリー」で醸造を担当されている佐々木佳津子(ささき・かずこ)さんが2008年にフランス帰国後から神戸ワイナリーで着手された新プロジェクトです。2010年に赤と白を初リリースし、その2008年産ルージュは「2010年国産ワインコンクール」で銅賞を、2009年産ブランは「2010年ジャパン・ワイン・チャレンジ」で銅賞をそれぞれ獲得しました。佐々木さん自身は2012年には神戸ワイナリーを離れましたが、その後もベネディクシオンは粛々とと造られており、この2016年産のブランは「2017年ジャパン・ワイン・チャレンジ」で金賞を受賞しているのです。
 
 

 それではグラスに注いでみましょう。
 色は透明感のある淡い黄色。グレープフルーツ、洋ナシなどのアロマを感じ、つづいてミントのニュアンスも。口に含むと爽やかな柑橘系の味わいとともにほど良いコクもあり、フィニッシュには心地よい苦みが残ります。ちょっと若いですが、あと半年ほどの瓶熟成で木樽の風味が溶け込み、より美味しくなることでしょう。
 

 このベネディクシオンは傑出したシャルドネとは言えませんが、なかなかどうしてイケてます。同じ価格帯のブルゴーニュ・ブラン(たとえばジャド社など)と比較しても決して見劣りしません。

 
 

 ベネディクシオンとはフランス語で「天の恵み」という意味です。神戸市北区と西区にあるブドウ畑の「天の恵み」をこれから神戸ワイナリーはどう生かしていくのか。
 「神戸ワインの進化」が楽しみです。

 
 

 参考価格:2,667円(税別)

気になるワイン その682017年11月18日(土)

 
Massai
 
 

「ボージョレ・ヌーヴォー」の新星に出会いました♫

 
 

 もちろんフランス・ブルゴーニュ地方ボージョレ地区からの1本です!
 
 

 とりあえず、簡単な説明を。
 

<赤>
 2017 ボージョレ・ヌーヴォー・マサイ(ダヴィッド・ラルジュ)
 2017 Beaujolais NOUVEAU “Massai” domaine David Large
 生産地:フランス,ボージョレ・ヌーヴォーAOC
 生産者:ダヴィッド・ラルジュ
 品 種:ガメイ100%
 

 マサイとは「戦士の魂」という意味。
 ビオロジックに認定された2haを所有する1840年より続く家族経営のドメーヌ。現当主、ダヴィッドは若干31歳。ヴィニュロンとしての独自の哲学のもと、自身の感性を生かしたワイン造りをしています。酸化防止剤不使用(醸造時)。
 この2017ヴィンテージがヌーヴォーとしては初リリースです。
 

 と、まあこんな感じです。
 
 

 この季節、ほんの十数年前までは「ボージョレ・ヌーヴォーの解禁」でワイン業界はてんてこ舞いになっておりました。今は昔の出来事です。ここ数年はというと、ちょっぴり地味ながら、着実にボージョレ・ヌーヴォーを楽しむ人が増えているような気がします。そんな2017年、ボージョレ・ヌーヴォーの素晴らしい造り手を発見しました。
 
 

 さっそく抜栓してみましょう。
 色は、ほんのり紫がかった赤。チェリー、カシスなどのアロマ。しばらくするとガメイ種の特徴であるストロベリージャムの香りがして、ちょっぴりリコリスの雰囲気も感じます。口に含むと、しっかりした酸を感じ、続いて豊かな果実味が口の中いっぱいに広がります。そして余韻にはアメリカンチェリーの風味が長く残ります。
 なんて美味しいボージョレ・ヌーヴォーなんでしょう!
 

 ボージョレ・ヌーヴォーは高額な航空便で配送されるため、船便に比べはるかに運賃がかかり、「中身のワインより運賃の方が高い」と揶揄する人も多いです。ですが、品質的にもこのボージョレは、新酒ではない通常の自然派ボージョレと比較して堂々と渡り合えるレヴェルで、かつ一流の自然派生産者のワインであれば、「ACボージョレ」といえども3,000円前後するものも多く、価格的にも十分に満足できるものだと思います。
 
 

 みなさまも、ぜひ。
 
 

 モンドールをつつきながら、このダヴィッド・ラルジュのボージョレ・ヌーヴォーで、“Happy Beaujolais !”
 
 

 さて,気になるお値段は…。
 
 

 3,800円(税別)です。
 
 

 ではでは。